当院でもワクチンの同時接種を行っています。同時だと発熱や接種部の赤みや腫れといった副反応が増えることがご心配だと思います。2つのワクチン後の発熱の頻度が10 %ずつだとすると、同時接種によって足し算で10+10=20 %になることは予想されますが、掛け算のようにそれ以上になることはありません。むしろ、海外渡航前に同時接種をこれまでも沢山行ってこられた施設のデータでは、足し算での頻度より低くなるとの報告もあります。重症の副反応が新たに出ることもありません。また2つのワクチンの効果が弱まることもありません。
お母さんとしては、10 %であっても10+10=20 %であっても、ワクチン後の副反応に対する心配度は変わらないのではないでしょうか?パーセントに関係なく、「打った後はやっぱり心配」ですよね。同時接種では来院する回数が減りますし、副反応の心配をする回数も減ります。なによりスケジュールがシンプルになります。
秋期ポリオワクチンの集団接種も各地区でもうすぐ終了しますが、この期間は、他のワクチンとのスケジュール調整が難しくなるなあ、と痛感しています。ポリオワクチンは接種日が固定している上、生ワクチンですので接種後27日以上間隔をあけないといけないためです。同時接種はスケジュールに余裕を作ってくれます。糟屋郡はBCGが個別接種ですからまだましですが、福岡市はBCGも集団接種ですから、なお大変です。福岡都市圏では3同時接種を行ってらっしゃる先生もおられます。
今秋は、ロタウイルス(嘔吐下痢症の原因のひとつ)に対する生ワクチンも導入が予定され、またワクチンの数が増えます。ワクチンの適齢期に入れば、なるべく早期に必要なワクチンの接種を終えるために、同時接種は避けて通れなくなります。
小さなリスクを引き受けながら、大きなリスクを予防する。それが予防接種です。
日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方http://www.jpeds.or.jp/saisin-j.html も是非ご一読ください。